焼き入れの種類について
高周波焼入れに60年以上一筋で向き合い、お客様から高い評価をいただいています。
埼玉県川口市の博英工業株式会社です。
鋼という素材は実に興味深いもので、熱によって硬くなったり柔らかくなったり
反対に、処理によっては脆くなったり粘り強くなったり…と、様々な顔を見せてくれる
金属です。
自動車用の精密部品や金型用鋼材などに使用される素材は、
硬度を上げて耐久性や靭性を上げて、壊れにくくする・衝撃や曲げにも強い素材に
していく必要があります。
素材の硬度を高めるためには、熱を加えて硬くする「焼き入れ」と呼ばれる
熱処理方法が選ばれます。
鋼を一定以上に加熱してから冷却する、熱処理の一種になります。
焼き入れ作業は高周波焼入れを含め、大きく分けて6種類あります。
まずは、高周波を除いた5種類をご紹介いたします。
@ ズブ焼き入れ
全体焼き入れとも呼ばれ、内部まで熱を加えて素材全体を硬くする焼き入れ方法です。
芯部まで焼き入れをすることで、素材全体が硬くなり、引っ張りや圧縮にも強くなる
という特徴があります。
小さいサイズの素材なら、短い時間で芯部まで熱が加わりますが
サイズが大きくなるほど内部までの焼き入れが難しく、時間もかかってしまいます。
A 表面焼き入れ
素材の表面のみを、焼き入れする熱処理方法です。
表面は硬くなりますが、内部は素材本来の硬度のままになります。
高周波焼き入れは、部品表面の特定部分に焼き入れを行うことから
表面焼き入れの部類に入るとも、考えられています。
その他、炎焼き入れ・レーザー焼き入れ・電子ビーム焼き入れなどがあります。
B 浸炭焼き入れ
熱処理する素材の表面に炭素を浸透させてから、焼き入れする処理方法です。
炭素が浸透した部分だけが硬くなり、強度を高められます。
炭素を浸透させた部分だけを焼き入れできるので、焼き入れ部分の選択が
比較的自由なのも特徴です。
C 真空焼き入れ
真空状態で熱処理をおこなう、焼き入れ方法です。
素材が酸素に触れないため、表面の酸化を防ぐことができます。
表面がきれいに仕上がり、研磨などの後工程を削減できるのがメリットです。
D 窒化焼き入れ
素材の表面に、窒素を浸透させて焼入れを行う方法です。
窒素が浸透した部分だけ、硬度を上げることができます。
最後に「高周波焼き入れ」です。
焼入れしたい特定部分に高周波コイルを巻きつけ、誘導電流を流すことで焼入れを
行う方法になります。
詳しく解説すると、鋼部品の外周や内面に近接したコイルに
高周波誘導電流を通すとコイルに磁力が発生し、同時に鋼部品に渦電流が発生します。
この渦電流は鋼部品の表面に集まり、誘導電流による抵抗熱で表面が急速加熱されます。
その後すぐに水などの冷却液で急速冷却することで、鋼材の表面だけを硬化することができます。
高周波焼入れの最大の特徴は、硬化した表面は耐摩耗性を持ち
内部は、靭性(部材の強度・ねばり強さ)を兼ね備えることができるところです。
周波数は、1〜500kHzという幅広い選択肢があります。
これら周波数に、出力・コイルの仕様・冷却システムなどを適切に組み合わせることで
お客様のご要望にあった焼き入れを、可能にします。
歯車やシャフト、ロール、カム、シリンダライナ、レール、平板、
あらゆる機械部品・自動車部品などの、高強度化・小型軽量化を叶えているのです。
さらに熱効率が優れているからこそ、作業時間が短くて済みます。
そのため、他の焼入れ方法に比べて全体のコストを大幅に削減も可能になります。
低価格でありながらも、高品質な製品を提供することが実現できるのです。
高周波焼き入れという方法だけでできるのではなく経験から培った職人の見極めと
腕が1番重要なのです。
他では断られた製品も、当社ではお役に立てる可能性があります。
是非とも一度ご相談ください。