高周波焼き入れ以前の方法について
ピンやシャフト・歯車・カム・リング・車輪の高周波焼入れで
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前回ご紹介したように、高周波焼き入れは1930年代後半から1940年代初頭には
実用化されていた技術ということに、驚いた方も多かったかもしれません。
では、この高周波焼き入れが普及する以前はどうしていたか?というと
主に「炉焼き」が行われていました。
「炉(ろ)」とは、金属や他の材料を高温で加熱するための設備や装置のことを指します。
主な目的として、以下があります。
- 加熱: 金属や材料を所定の高温に加熱し、物理的・化学的特性を変化させるための装置
- 温度保持: 金属が一定の温度で保たれるように、温度管理を行う
- 熱処理: 焼き入れや焼き戻し、溶解、焼成など、材料に特定の熱的性質を与える
特定の熱処理では炉内でも冷却が行われることもありますが、基本的には炉の役割は
加熱と温度保持であり、これによって金属の物理的・化学的性質を変化させます。
炉での加熱は、青銅器時代(紀元前3000年〜紀元前1000年頃)に
すでに存在していたようです。
鉄器時代(紀元前1200年〜紀元前500年頃)には、鉄の加工技術が進化し
炉を使った加熱が普及しました。
中世になると、鉄鋼技術はヨーロッパやアジア(特に中国)で急速に発展し
炉での加熱が次第に精密になっていき、特に刀剣の焼き入れが重要視されるようになります。
これによって、金属の硬度や強度が飛躍的に向上したのです。
そして産業革命以降の鉄鋼業の進化とともに、炉焼き技術は大きく発展しました。
炉の種類は、主なもので4つあります。
@ 電気炉
電気エネルギーを使って金属を加熱する炉です。
アーク炉、誘導炉、抵抗炉など、電気エネルギーが直接金属に作用して加熱していきます。
金属全体を、均一に加熱することができます。
A ガス炉
天然ガスやプロパンなどの燃料ガスを燃焼させて熱を発生させ、その熱を使って金属や
材料を加熱します。
比較的高温に達することができるため、さまざまな熱処理に使われます。
大きな部品や、大量の材料の処理に向いています。
燃料が比較的安価で、炉内温度が均一に保たれるため、熱処理の効率が良い特徴があります。
B オーブン(焼成炉)
比較的低温で焼成(硬化)するための炉で、セラミックやガラスなど比較的低温で
加工が必要な材料の処理に使用されます。
C マフラー炉(還元炉)
酸素が不足した状態(還元雰囲気)で、金属を加熱していきます。
金属表面を酸化させずに加熱することができるため、鉄鋼の焼き入れや熱処理
硬化処理などに使用されます。
これらの炉焼き技術は金属全体を加熱し、熱処理全般に適しています。
そのため、加熱時間や温度が比較的長いことが多いです。
しかし、これでは生産効率が低下します。
特に大量の部品を処理する際には、時間的なロスが大きくなります。
また温度が均一に行き渡りにくい場合があり、酸化や脱炭のリスクが伴います。
酸化や脱炭が起こると金属の表面が劣化し、目的とする硬度や耐摩耗性が
得られない場合があります。
さらに燃焼によって、二酸化炭素(CO2)や一酸化炭素(CO)などの有害ガスが
発生することもあります。
これらのデメリットを払拭するために、「高周波焼き入れ」が行われるようになりました。
現在も金属全体を均等に加熱してその内部を所定の状態にしておくために、最初に炉で
加熱してから高周波加熱を行うケースもありますが、炉焼きの代わりに
高周波焼き入れを行い、表面のみを短時間で加熱して内部の温度変化を最小限に
抑えながら、表面だけを硬化させることができるようになったのです。
このように、長い長い歴史を経て、今の高周波焼き入れにたどり着きました。
私たちはこれらの技術を、より多くの分野で貢献していきたいと思っております。
金属熱処理加工が必要な部品等ありましたら、ぜひ当社にご相談ください。
お待ちしております。







